活動ニュース

2023.04.04児童画から世界を読み解く

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2022年10月2日~16日に芦屋市にある4つの会場で、第48回芦屋国際児童画展が開催されました。展示会は世界食料デー芦屋大会の一環として1990年から開催されてきました。ハンガーゼロのチャイルドサポーター支援国であるウガンダ、ルワンダ、ボリビア、フィリピン、カンボジア、バングラデシュ6ヵ国から寄せられた子どもの絵画96作品は、美術教育関係者、美術に関心が深い者、ハンガーゼロスタッフから成るメンバーによって事前に審査会が行われ、それぞれで一番心を動かされた絵に国際大賞銀賞、そして次に良かった絵2 点を国際大賞、また全体で最もよかった絵1点を国際大賞金賞に選びました。受賞者たちにはハンガーゼロ愛知事務所が参加しているイオン黄色いレシートキャンペーンより寄贈された色鉛筆が贈られました。

Ashiya2.jpg委員として初期から芦屋国際児童画展に携わっておられる奥野泰孝さんにこの取り組みについて伺いました。奥野さんは高校と特別支援学校で美術教員をし、2022年に退職。現在、非常勤で教育や福祉の仕事をしておられます。



Q 芦屋国際児童画展が始まった経緯

 1989年、芦屋福音教会のバザーなどの行事に合わせて芦屋児童会画展が開催され、翌年世界食料デー芦屋大会の一環として、芦屋市の後援のもとで「第1 回芦屋国際児童画展」を開催しました。ハンガーゼロの活動国の子どもの絵を絵画展に含めることが、日本の人々の開発途上国への関心や理解に役立つのではないかと、ハンガーゼロに各国から送られてくる児童画を展示するようになりました。

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Q 支援国の子どもたちの絵画の着目点は

 子どもの「今」を見る素直で鋭い観察眼と無限の夢を見る想像力が結び合った時、社会が変わる力になります。キング牧師が「私には夢がある」と言って、人種差別のなくなる日のイメージを具体的に語りました。キング牧師には現実をしっかり見る目と子どものように夢を見る能力があったのだと思います。私たちは子どもたちの絵に現れている「今」と「未来」に着目しています。


Q 2022年の絵のテーマは「LIFE ~くらし・生活~」
特に印象に残ったことは

 自分の家族や友だちとの生活をとても大事にしているのが分かる絵が多かったです。伝えたいという意欲が先にあり、全体に見せる技術が上達しています。細部まで克明に描くことで対象への愛情が伝わる絵がありました。また、フィリピン、バングラデシュなどアジアの国の10代後半の子どもたちから、遠近法を活かした凝った構図の絵が何枚か送られてきました。以前は透視図法とは正反対の空間の厚みは出さない絵が多くありました。それが、アジア地域の絵画表現の伝統でもあったのです。どちらがいいということはなく、子どもが自分の気持ちを表すのにどういう表現の仕方を選ぶかの違いです。  

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国際大賞 銀賞
フィリピン/ヨハン・ガボイさん(18)
(釣りを題材に父との関係を描く)

Q 芦屋国際児童画展を開催してよかった点は

 1995年の阪神大震災の後、過去に絵を送ってくれた子どもから励ましの手紙を受け取ったことや画材製造会社から心よく絵の具などを提供していただけたことです。また貧しい地域の子どもたちが生き生きと絵を描き、日本と交流しているのを見て、地域の人たちが子どもの絵の展覧会を開いたと聞いたことです。

Q 今後に期待することは

 共感して運営に参加してくれる仲間が増えること、絵を通してその絵を描いてくれた子どもと日本で関心を持っている人との双方向の交流ができることです。また飢餓対策や海外援助に加わる人が増えること、そして生活画の意義が美術教育界に広まることです。

Q 国内で視覚教材としてこの児童画を貸し出しています。
どのように絵を見ればよりおもしろさがわかるのでしょう

絵を描いて送ってくる子どもたちは、「絵で何かを伝えよう」としているわけではなく、「自分がこの絵を描いている時の気持ちに共感してくれる人がいる」と確信して楽しんで描いているのだと思います。絵を描いている子どもの視線になり、その気持ちを共有すること、そしてどうしてこの絵を描きたいと思ったのか考えることです。その後、少し余分ですがその国の現状や歴史を調べると絵の背景が分かって面白いかもしれません。

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 2022年 芦屋国際児童画展のご報告

 目に見える現実を見て描いた絵と、夢や希望といった見えてないことを描いた絵があります。人間の想像は自分の体験から構築するのであって、見たことのあるものが元になります。キング牧師は「I Have A Dream」私には夢があると言って夢を語りました。あの夢は神から来ているのです。その夢の実現には土台として今の現実をしっかり見ているということが大事です。子どもは素直に現実を見つめているからその絵が面白いのです。だから経験したこともない想像の絵も面白いのです。そういう絵に世界を変える力があります。キング牧師の言葉に世界を変える力があったように。今年6 ヵ国の子どもたちが描いて送ってくれた絵は貴重です。子どが現実をどう見ているか、そして、そこからどんな夢を見ているかが分かる貴重なものです。

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( 文:奥野委員)

●児童画を貸し出します。希望者は大阪事務所まで
2017年テーマ 「 10 年後の僕・私の村」
2018年テーマ 「 わたしの大切なもの・こと」
2019年テーマ 「 私たちの食事」
2022年テーマ 「 LIFE~くらし・生活~」

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